clovers~美少女カルテット~

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マクロよりミクロに、目と耳で感じ取れる範囲まで

 先月発売されました。『6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。』ですが、大澤めぐみ氏の三冊目なんですが、前作、前々作の『おにぎり~』『ひとくい~』とはまた全くと言っていいほどに雰囲気の違う、ノンファンタジーで描かれている本作になります。ストーリーとしては、四人の高校生達の視点から書かれる、お互いのお互いに対する気持ちや、自身の現状や生い立ちに対する不満、苛立ち、後悔、そして諦観ともいえる感情。どうにもままならないのは、彼か、環境か、それとも自分自身の……。

 思春期特有の、とは片付けられない。他人と関わればいつであっても思ってしまう、比較の嫉妬ともいえる、自己嫌悪にも似た感情が、四人それぞれの色や形で語られていきます。(そう考えると最後のスタンドの可視化は、通じあえたと考えてもいいのかもしれません)

 四人の語り口は、どこまでも不透明な自己の奥底を掻き分け探すようで、探そうと掻けば掻くほど感情の色が混ざって、一つの色になっていくように、一人一人の色を見つけていきます。

 他者作品で言えば『言の葉の庭』や『俺の教室に涼宮ハルヒはいない』などが好きな人におすすめの作品だと思います。